岡本前会長メッセージ

 

  一般社団法人城北会の会長を退任するにあたり、東京都立戸山高等学校の在校生、卒業生の皆さま、保護者や関係者の皆さまにご挨拶を申し上げます。「会員相互の親睦を深め、会員の社会生活面での活動の向上・発展に寄与するとともに、母校の学習および教育環境の向上に資することを目的」とすることを定款に掲げている城北会は、そのメンバーはかくあるべき、という厳しい強制力を持った団体ではありません。戸山高等学校の卒業生が年代を越えて集まり、楽しみ、母校を思い、在校生や会員の活動を助けるという日常的な行動を支えることができるように努力してまいりました。卒業生の方々が払ってくださる会費と寄附に支えられた城北会の取り組みが卒業生の皆さんと在校生や教職員の皆さまに還元できますように、とこれからも小松新会長のもと、深井奨学財団や校友会と協力しつつ、活動が続けられていきます。

 広い年代にわたる同窓生が一堂に会する機会である懇親総会や、卒業後一定期間を経た同期生たちが母校を訪ねるホームカミングデーなど、卒業生の相互交流を進める事業が従来のような形で開催でき、いろいろな活動を進めて交流の場を十分に提供できたことは大きな喜びでした。

 私はちょうど60年前に戸山高等学校生であったのですが、高校時代に身に着いた香りが今でも続いている、と実感しています。戸山高等学校の香りの一つが、「自由であること」の大切さを学んだことだ、と確信しています。自由とは、「自分で決め、自分で実行し、自分で責任を取る」ことで、自分が大事だから勝手にする、ということではありません。

同じことを髙野校長先生も新入生に向けてお話しされていました。「自由であること」は戸山高等学校の伝統でしょうか。私は入学式や卒業式での祝辞に繰り返し話しています。自分で決めるためには「よく考える」ことが必要ですが、その時には友人や先生、家族の人たちの言うことを良く参考にしなければなりません。

コロナ禍から解放されたことは大切な機会を作ってくれるでしょう。3月に卒業した方々は普通の高等学校生活の意義を実感されたようです。卒業生代表答辞に「大学入試は団体戦」とありました。これも戸山高等学校の伝統、香り、の一つと言えましょう。60年前と変わらない香りを感じてとても幸いでした。

生活の質も時代の雰囲気も当然変わっていきますが、良いことは守りつつ積極的で前向きな方向を創っていきたいと申し上げて、ご挨拶を締めます。

岡本和夫(昭和41年卒)